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西安旅行記

中国語以外に作文も苦闘歴です


西安旅行記
西安は、日本と非常に縁の深い都市の一つです。しかし西安は、日本から
約2500Kmの距離があります。これは大阪からマニラ間に匹敵します。
関西空港から直行便がないので、北京で乗り継ぎせねばならず、行き帰りに
それぞれ丸1日を必要とします。 西安は古都と言うに相応しく、その歴史は
桁外れに長くて、壮大です。 西安と比べると首都の北京ですら最近の
新興勢力のように感じられます。
ちょうど、奈良、京都と東京の関係のようです。
その様な超古都である西安を今回初めて訪れる機会に恵まれました。2年前に
ツアー予約までしていたのですが、病気でキャンセルを余儀なくされ、今回
改めての旅行となりました。
 私が中国大陸に初めて旅行したのは、1982年の秋の北京でした。
当時は北京でも伊丹からの直行便がなく、上海で飛行機を乗り換えて約7時間
以上かかった記憶があります。 人民帽を被っていた若いガイドさんの案内で、
万里の長城や、頤和園などを訪れましたが、建設に費やした想像もできない
労力に圧倒され、巨大な建造物の発しているオーラに驚嘆させられました。
その反面、当時の北京は、ホテルや各種サービス、トイレ事情などは今と比べ
物にならないくらい貧弱で、夜は本当に暗かったことを鮮明に覚えています。
その後、上海で起業した知人を訪ねたりして、今回の西安で7回目の訪中と
なります。 それらの旅行を通して、私の中で中国の人々の暮らしや、中国の
歴史や風土に対する関心が更に深められていきました。4年ほど前からは、
週1回ですが中国語を学び始めました。
 さて、西安旅行の話に戻ります。 毎年奈良で開かれる正倉院展をご覧に
なったことがある方はお分かりのことと思いますが、シルクロードから西安を
経由してはるばる日本までやってきたであろう多数の工芸品には心を奪われます。
正倉院だけでなく、西安が日本に与えた影響は極めて大きかったと思います。
弘法大師空海、伝教大師最澄などの留学生が西安から持ち帰った仏教思想は、
日本人に計り知れない影響を与えました。他にも西安交通大学前の興慶宮公園に
石碑が立つ阿倍仲麻呂、最近発見された石碑から存在が判明した井真成、
鑑真和上を伴って帰国した吉備真備など、当時日本の最高レベルの知識人たちが
西安で暮らし、学んでいた訳です。 彼らが持ち帰った知識はその後のわが国の
行政、法律、芸術などあらゆる方面の基礎となりました。  
それだけの繋がりがありながら、現在の西安には、記念碑はあっても、遣唐使が
生活した時代を偲ぶ痕跡などがほとんど残っていないのは残念です。



3泊4日のツアーに参加したので、西安のほんの一部分しか観光できません
でしたが、大雁塔の最上階や、城壁の安定門の上から眺めた西安は開発
ラッシュで、四方にビル建設のタワークレーンが林立しているのが見えます。
一挙に二路線の地下鉄を建設中なので道路の渋滞はかなりなものです。西安は、
メガシテイーへと急速に変化しています。西安には大学が多くあり、若者の姿が
多いことも一層街に活気を与えている要因でしょう。 また、偶然ですがメイド喫茶も
見つけました。 ですから日本人のもとめている千年以上前の遣唐使の時代を今の
西安で探すのはかなり難しいと感じました。 
鼓楼の前で、西安観光地図を3元で買いました。地図には、「長安城遺跡保護区」
「秦阿房宮遺跡保護区」、などのガイドブックでは馴染みの無い名前が見えます。
それらは地図には遺跡として記載されているので、おそらく一般的な観光名所では
ないのでしょう。 西安では今後も遺跡の発掘や再建が進むでしょうが、当時の
建築物や門や寺院などを復元しなくても、観光客が隋唐時代の雰囲気に浸れ
ないものか、整備に当たって工夫をこらしてほしいと思っています。
また、大長安時代の城壁の跡だったであろう、東西南北の三環路の内側区域は、
できる限り現状の保護を優先し、街歩きの楽しさをたくさん提供していただきたいと
希望します。 碑林博物館の周辺はよく整備されていて、 西安市のシンボル
である城壁や歴史的文化財、老舗のお店などが渾然と集まり、街歩きする人に
とって魅力のあるエリアです。 このような魅力あるエリアが増えることで、更に多くの
外国人が西安に集まることでしょう。 秦の始皇帝兵馬俑や陝西省博物館も無論
すばらしい文化財ですが、リピーター客を呼びこむには、西安の街そのものの
遊、食、文化、サービスの各ブランド力を高めて頂きたいです。 
 最後に市内観光の交通手段で一言。 宿泊したシェラトンホテルから、鐘楼付近
までは、地図で見ると歩いていける距離だと思っていたのですが、それは、
とんでもない間違いでした。 体感的には大阪駅から難波駅以上ありそうです。
ですから個人で市内を廻るには、タクシーやバスを利用することになるのですが、
言葉の問題や、行き先がどこなのか分からない不安があり、日本人が利用
するには、難しい面もあります。 しかし、今後地下鉄が開通すれば、かなり気楽に
移動することが可能になるでしょう。西安を訪れる予定の人には朗報だと思います。
今回の旅行に誘っていただいたKさんと、帰りの機中で旅の思い出話をしながら、
機会があれば是非また西安を訪れたいという点で、意見が一致しました。 乾陵や、
法門寺など見残した名所はいくつもあります。  そのときには直行便があれば
尚いいのですが。

by minamihorie | 2009-08-12 23:07 | 学习中文  

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